| ■(株)イノベーション アソシエイツ代表取締役 井口不二男氏に聞く
─「日本経営品質賞」について教えてください。 「日本経営品質賞」*(名誉総裁:寛仁親王殿下)は、(財)日本生産性本部が1995年に創設した表彰制度です。お客様目線に基づいて新たな価値を創造していくことができるよう、企業が経営構造を革新していく──その取り組みを奨励する目的で創設されました。 ─井口先生は、日本経営品質賞にどのように関わってこられたのですか? 賞創設当時の時代背景として、日本のバブル経済崩壊があります。 産業界もモノをつくれば売れるというあり方から、経営の革新が求められるようになってきました。 「CS」(顧客満足;カスタマー・サティスファクション)の必要性がさまざまな所で言われるようになり、産学共同での取り組みや、顧客の満足度調査などが始められたのも、このころのことです。 社会経済性本部(現:日本生産性本部)でも有志の大手企業が集まり、CSについての研究会が立ち上げられました。 早くから市場が成熟していたアメリカでは、日本に先んじて、モノが売れない経済の低迷期を経験していました。そのため、経営品質を向上させるための取り組みも徹底的になされていたのです。 80年代のアメリカ経済復興に大きく寄与したのが、米国国家品質賞「マルコム・ボルドリッジ国家品質賞(MB賞)」だと言われています。MB賞は緻密に体系化された審査基準を持っており、私はこれを学んできました。
*日本経営品質賞:http://www.jqaward.org/index.html
─井口先生と高橋さんの出会いについて教えていただけますか。 日本生産性本部で開催している「経営革新の基礎」コースに、高橋さんが受講されたんです。 コースは講義形式ではなく、ケースを取り上げて、1日じゅうワークをみっちり行うものです。私は講師を担当しており、その準備をしていたところに事務局の人がやってきて、
─井口先生がコンサルテーションを引き受ける際に、その企業にはどんなことを求められるのでしょうか? まず、お客様目線で考えてやっている会社かどうかということ。 それから先ほどお話ししたように、地道に取り組みを続けるということ。 そして、お客様の対象をいかに絞るか、ということです。 こうした姿勢があってこそ、強い会社にしていくことができるのです。 お客様の立場に立ち、何がお客様の価値につながるのか。その目線を失ったら、モノやサービスは市場では受け入れられませんし、事業としては成り立ちません。
「組織の変革には、たゆまぬ努力も、
そして時間も必要なんです」 ![]() 一つの会社が自ら変革していく力をつけていくには、その会社の人達の不断の努力が欠かせません。また、それには相応の時間もかかるんですよ。 昨年度、日本経営品質賞を受賞したスーパーホテル*も、私が関わるようになってから5年半を経ての受賞でした。 企業体でまず必要なのは、企業文化、企業風土ともいうべきものをつくる社長の役割です。これがトップマネジメントですね。 その下にくるのが戦略です。その時の社会状況・経済状況を見通して、数年先までの戦略を立てられるかどうか。 そして、それを実行できるための人づくりを行って、結果としていい製品やサービスを生み出されるのです。 これらのことを一つひとつ、しっかり地道に見直していかなくてはなりません。 *スーパーホテル:業界No.1ホテルチェーン。「低価格でぐっすり眠れる」という、ビジネスユースの顧客ニーズに応えるモデルを構築した。 http://www.jqaward.org/superhotel.htm?OpenDocument
─対象を絞るとは、どういうことですか? 実は、大企業であっても、そのリソースはけっして大きくありません。 リソースとは、人、モノ、カネ、情報といった、企業活動を行ううえでの資源です。 「買ってくれる人がお客様」だと言って、なんでもかんでも来た注文に応えていたら、どうなるでしょうか。
「僕はこういう人と仕事をしたい」とお客様を選び、その代わり、決めたからには徹底的に約束した価値を創っていく。
─実際に興和サインの勉強会に関わるようになり、その印象はいかがでしたか。 大手や中堅企業では、そこそこ仕事が動いていますから、保身から入って、「ちゃんとこれだけ仕事をしています」と取りつくろうところもあるんです。まず、そこを壊すところから始めないと、本当の問題解決までには行き着かないんですよ。 それに対し、興和サインの皆さんは、とても「素」(す)だなあ、と感じましたね。 ただし、まだ経営品質向上を目指しての組織改革は端緒に着いたばかりで、畑で言えば土壌を耕している段階です。 会社で大切なのはノウハウです。ノウハウが人を育て、製品を生み、お金を稼いできてくれます。ノウハウは、会社の良い風土の中で蓄積され、また刷新されていくのです。 ◆ Column 「私たちにとっての勉強会」
勉強会に参加しての感想を、興和サインの社員のみなさんに伺いました。 ![]()
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