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■(株)イノベーション アソシエイツ代表取締役 井口不二男氏と語る
![]() Yoshifumi Takahashi × Fujio Iguchi
井口 今度、経営品質賞の認証制度が始まり、神戸で2社、初めて中小企業から応募しようとがんばっているんですよ。 高橋 興和サインの応募は、3年くらい先だと思っています。 井口 そう、3年ね。 高橋 僕は賞をとること自体を目的にしてなくて、賞を目指していく発展のプロセスで、会社に「筋力」がついてくることが大事だと思うんです。 本当の意味でお客様価値を創れる、強い会社にしていくために。
たとえばフィギアの安藤美姫が、昔は4回転ジャンプを飛べたのに、体が変わると飛べなくなる。
でも、会社は一つの共同体である以上、だれか欠けたら困るわけです。そこで僕にできるのは、教育の場を提供するしかないわけです。 今、先生にみていただいている勉強会は教育の場であって、僕の中では「社会人大学院」という位置づけなんですよ。 教育って実はとても大事で、たとえば30年生きてきた人は、その生きてきた経験のフィルターを通してしか、ものを見られません。けれども、質のいい教育を受けることによって、もしかしたら、もっと違う尺度で多面的に見ることができるようになるかもしれない。そして、その中で、ごく小さな成功体験をいくつも積んでいくうちに、「がんばってみよう」と思うきっかけになるかもしれない。 井口 親が子供にできることは、その教育の機会を与えることだけですね。 高橋 質のいい教育って、要は、自分で考えることのできる人をつくることだと思うんです。人から言われたことだけを唯々諾々とやるのではなく、自分のフィルターを通してきちんとものごとを判断し、創意工夫していける。 井口 そうですね。そしてそれは、直接制作に関わる部署だけのことではなく、どこの部署の人であっても自分の仕事を創意工夫していくことができるんですよ。
![]() 「その街の人になにが喜ばれるか、知恵を絞ったから、アイデアが生まれてきたんです」
「神戸スイーツタクシー」で有名な近畿タクシーは、阪神大震災で大きな被害を受けた長田地区に本社があるんです。 震災後、老人と少数の若者しか残らなかった長田でやっていくために、近畿タクシーは知恵を絞った。それには、この街の人たちがいちばん喜ぶタクシーをつくるしかないと。 そこで、「エコ福祉タクシー」や「塾の送り迎えタクシー」、「海のタクシー」など、街の人たちに便利で楽しいタクシーをどんどんつくってしまったんです。 利用して楽しい、人に喜ばれるというのは、すごくいいですよね。 高橋 やはり今のような不況の時代であれば特に、「マッチ売りの少女」が必要なんですよ。世の中を明るくし、楽しくしてくれるようなね。看板でもそうです。疲弊して薄暗くなっているような街であっても、そこをを明るく照らし、楽しくしてくれるもの──。 だからエンタメ系だって、奇抜で楽しくても、下品であったり、人が見て不快であってはいけないんです。人の「快」の感覚に照らし合わせて美しく、しかもどういう形、色、雰囲気であればその地域に同化していくかまでを考えていく必要があります。 ![]() 「規格外の発想と、ロジカルな裏付けがあって、本当におもしろいアイデアは生きるんです」
そのための裏付けとして、実際に大学に委託研究をお願いし、学術的な検証もしているんです。たとえば、人の記憶に残りやすいのは平面的なものか、立体的なものか。 「美」は主観的なものですけど、人が見たときに美しいと脳が判断するものは厳然とあるわけで、それをはたして定量化できるかどうかなど、さまざまなアプローチを進めています。 思考のフレームワークの外にある、斬新で大胆なデザインにも、そうしたロジカルな裏付けがあって、はじめて本当におもしろいアイデアは生きてくる。そう、僕は考えているんです。 ところで「美」というのは、目的になるんです。 これは究極の目的になりうることなんです。 会社の目的を見直したときに、これはなかなか大切なことであると私は思っています。
高橋 まあ、先ほど先生がおっしゃっていたように、勉強会のほうは土づくりの段階です。人に喜んでもらえる、明るく楽しい価値あるものを創る。それをしていくためには、何をどうしたらいいのか、一人ひとりの中の物差しを、しっかりつくっていければと思っています。 井口 会社だから、何のために「自分たちは存在するのか」ということが、はっきりしていないとダメですよね。 だから、会社をこれだけ大きくするとか、売り上げをいくらにするという数字の話じゃないんです。
高橋 「会社は小ツブのままでいい」
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