■日理株式会社 取締役部長 大村達夫氏に聴く![]() 日理株式会社 取締役部長(営業・総合マーケティング開発部担当)大村達夫氏
─「日理」についてご紹介ください。 日理は、理容室や美容室で使用する様々な商材を卸している商社です。理美容用品や理美容設備をはじめ、化粧品、ヘアケア用品、エステティック用品、健康器具など、理容室や美容室で使う、ありとあらゆる商材を扱っています。 一次問屋である当社が二次問屋である理美容ディーラー様に商材を卸すと、ディーラー様は美容室やサロンに商品をデリバリーします。当社が直接お取り引きしているディーラー様は全国600社に上り、理容業界ではトップシェアです。 創業は明治18年、2010年で創業125周年です。
─興和サインの高橋さんには、何を依頼されたのですか。 セミナーの講師をお願いしています。 日理では、業界活性化のため、さまざまなセミナーを開催しています。高橋さんには「見える化」をテーマに、2009年の9月、ディーラーの経営者様を対象に開催した全国大会で講師を務めていただきました。それを皮切りに、ディーラーの営業担当者様対象のセミナーでも同じテーマで話してもらいました。営業向けセミナーは、福岡、大阪、名古屋、そして東京では2回、開催しています。
また、セミナー会場では、興和サインでつくった看板の見本を紹介しました。こちらのほうは、まだ値段の設定をする前にもかかわらず、「いくらで買えるのか?」、「早く商品化してほしい」といった問い合わせや要望がかなりありました。 床屋さんといえばサインポール、あの赤と青のラインが絡み合ってクルクル回る看板が昔からあります。しかし、紹介した看板は、コンセプトもデザインもこれまで理容業界にまったくなかったものです。それだけに、新鮮に感じられたようです。
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─高橋さんに、セミナーをお願いしたきっかけは何だったのでしょう? 高橋さんのことは、『儲かるお店の「すごい!」見せ方』という著書を読んで知りました。JR駅ナカの本屋さんに、この本がいいポジションに置いてあったもので、たまたま目にとまったのです。
昨年来、私は理美容業界の「見える化」、「見せる化」ということにずっと取り組んでおり、業界内でも提唱してきました。ですから、タイトルにパッと惹かれ、「私と同じことを求めている方だな」、と直感したのです。 マクドナルドのようなファーストフードでは、ブランディングがしっかりできています。テレビでCMを流していますから、お店に入らなくてもどんなサービスが提供されるのか、お客様にはわかります。
─業界の「見える化」「見せる化」に取り組もうと思われた背景には、どのようなことがありましたか。 床屋さんというのは普通の小売店と違って、1回店に入ったお客様は、物を買わずに出て行くことはありません。必ず髪の毛をいじってもらって帰っていくわけです。また、一度来てくれるようになったお客様は、長く継続して来店してくれます。 その反面、初めてお店に入るには非常に勇気がいるんです。 そういう業態のなかで、来店されたお客様に長く来ていただく提案については、日理もかなり取り組んできました。私自身も高橋さんの本を読むまで、新規顧客の獲得という視点より、既存のお客様に対する提案にウエイトが傾いていました。 しかし、サロンにおいては、どうしても失客は免れません。 長年来ていたお客様も、高齢化で薄毛になって来店されなくなります。特に、今のような経済状況では、スタイルを提案するような店でなくても、10分1000円の所でいいという人も出てきます。 それに理髪というのは、急務な出費ではないんですね。食事は毎日食べないと困りますが、理髪は1ヵ月、がまんできます。 お客様の平均単価が4000円だとすると、これまでは500円、1000円のトッピングメニューをつけて失客分を補おうと努めてきました。しかし、それでも失客分を補えないとジリ貧です。やはり、4000円のお客様を増やしていく方向で努力していかないといけないわけです。 ─新規顧客の獲得は、かなり難しいのですか? 街で美容院のティッシュをよく配っていますよね。あれは100個配っても、新規で来店されるお客様は2〜3%ぐらいと聞いております。 業界の中では、新規の顧客獲得は難しいというあきらめがあったのかもしれません。打開策が何も見えていなかったんですよ。 高橋さんのセミナーでは、お店の魅力を積極的に伝え、新規顧客を獲得していくという「攻めの看板」の話がありました。打開策が見えてなかった状況だけにそのお話は目からウロコで、セミナーを受けたディーラーの方々も共鳴するところが多かったと思います。
─これまでの床屋さんの象徴でもあるサインポールの、看板の役割についはどうとらえられていますか。 サインポールをつくる業者さんは、大手が4社ありました。しかし、廃業・倒産で、現在は2社となっています。サインポールの需要というのは、だいぶ減ってきているんです。これには二つ理由があります。 一つは、買い換え需要がなくなってきたことです。床屋さんのオーナーの平均年齢は約60歳、企業で言うと退職する年齢です。サインポールはけっこう高価なものですから、少々汚くなっても回してしまっている現状があります。 もう一つは、若い技術者のお店や、女性客を取り込みたいお店の場合、サインポール自体を敬遠する層も出てきたということです。 製造業者でも、青を緑に変えてみたり、LEDを使うなど努力はされていますが、全体の需要が落ちていることは否めません。 サインポールは理容業にとって大事な看板です。とはいえ、“ここに床屋があります"ということだけを知らせる「守りの看板」なんですよ。サインポールにはサインポールの役割がありますが、もっと積極的にお店の価値や魅力を伝えていく、「攻めの看板」もクリエイトしていく必要があるでしょう。
─では、「攻めの看板」とは、大村さんの中でどのようなイメージなのでしょう。 たとえばセミナーで紹介してもらった興和サインのプロダクツ。 ![]() これがまっすぐな棒であったら安価につくれて、安く卸せるかもしれません。 ![]()
このように、提供するサービスを「見える化」したいのは、サロンが「ひとときビジネス」として、時間を過ごす場所に変わってきているという背景があります。単に髪を切る場所ではなく、店にいる間、癒しやリフレッシュが提供される。また、そうした付加価値をつけている店が、今、お客様から選ばれている傾向があるのです。その付加価値をお客様に伝えていくのも、攻めの看板の大きな役割でしょう。
![]() 「モノ」である看板を活用するには、その意図する「コト」も押さえておく必要があります」
ええ。ただ、先ほどもお話したように、各サロンの現場では、「モノ」であり「コト」であるのを理解したうえで活用していただきたいんですね。 日理では常日頃から、新製品や流行の動向を情報発信しています。しかし、それが現場までうまく伝わっていかない現状があります。 極端な話、私どもがある商品の良さを100%伝えたとしても、業界内で伝言ゲームのように、ディーラーでは70〜80%、サロンでは60〜70%、さらにお客様のところでは半分以下になってしまうといったこともあるわけです。 サロンの現場レベルで底上げをしていくには、これからの営業は単に物を売ってくるだけでは務まりません。そのお店の現状を把握し、きちんとコンサルティングしていけるようでないとだめでしょう。でないと、「安いですよ」のトークに終始し、結局はデフレスパイラルのようになって、モノも売れていかないと思うんです。 「モノ」であり「コト」である攻めの看板についても、その意図するところを営業がしっかり把握していく必要があります。それには素人の私が話すより、プロである高橋さんに教えてただくほうが営業の人間も受け入れやすく、効果的です。 今後も、高橋さんにご協力いただき、レベルアップを図っていきたいと思っています。
─今後、高橋さんと興和サインに期待するところをお話しください。 今、どこの業界でも、失客の問題に取り組まれていることと思います。 理美容業界でも失客は多く、その抜本的な対策として、 (1) メニュー提案 (2) 店販商品 (3) 新規顧客の獲得 の3本柱を考え、日理でも真剣に取り組んでいます。 メニュー提案では、いろいろ流行を仕掛けたり、「癒し処」としての存在価値を高めるようなさまざまなオプションメニュー・サイドメニューを発信していきます。 われわれの仕事は、理容室・美容室に販売するモノを軸に、さまざまなサービスや付加価値を提供し、お客様に喜んでいただくことです。
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